散歩のススメのブログを作ろうと思い立ったときには、まさかこんな事態になるとは思ってもいませんでした。散歩を奨励する文章をたくさん書く気満々だったのですが、安易におすすめできない状況になってしまいました。
新型コロナウイルス(Covid-19)に感染しない、感染させないための予防策としてもっとも効果的なのは“STAY HOME”です。外出する機会、人と接触する機会をできるかぎり減らすことこそが最善の予防策であるのは間違いないでしょう。仮に自分に免疫力があって症状がでなかったとしても、感染した時点で人にうつす危険があります。もしも自分の不注意や認識不足や気の緩みが原因で高齢者が重症化したり、感染が拡大化してしまったら、悔やんでも悔やみきれません。とは言え、ずっと家にこもっているのは短期間ならいざしらず、長期間はなかなか難しい現状があります。
散歩は不要ではなく必要
外に出ないに越したことはないのですが、ずっと家にこもっているのはかなり難しいです。在宅ワークで代替できない仕事もたくさんあります。日常生活でも最低限の買い物はしなければなりません。また、体や心の健康のケアのための散歩は短期的には“不要”でも、長期的には“必要”です。環境省が出している「紫外線環境保健マニュアル」(下記PDFの24~25ページあたり)にも1日15分~30分、太陽の光にあたることが望まれるとあります。(http://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_pdf/02.pdf)
また、ビタミンD不足の人が太陽の光を浴びることによって、風邪などの急性呼吸器感染症の予防になるとの説が国際的にも権威のある医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)』で2年ほど前に発表されています。
https://www.bmj.com/content/356/bmj.i6583
散歩は不要不急のことではなく、必要なことです。ただし感染予防に関する知識を得て、可能なかぎり注意し、万全の対策をとることが求められます。外出自粛の今、散歩とジョギング、どんなことを気をつければ良いのが、8つのポイントをまとめました。
1.人の多い場所・時間帯を避ける
新型コロナウィルス(Covid-19)に感染しない、感染させないために、三密が推奨されています。三密とは「密閉」「密集」「密接」です。散歩にしてもジョギングにしてもも、野外なので「密閉」は当たりませんが、人が多いところを散歩したり、ジョギングしたりすると、「密集」「密接」となる危険性があります。
ルートをえらぶ時には人の少ない場所、時間帯を選ぶようにしましょう。
2.集団での散歩・ジョギングを避ける
散歩にしてもジョギングにしても、できることならば、単独がいいのですが、お子さんと一緒に散歩するというケースもあるでしょう。できるだけ少人数を心がけて、最大でも家族だけにしましょう。
集団で歩いたり、走ったりすると、それだけで「密集」「密接」となる危険性が高くなります。また、歩いたり走ったりしながら会話をすると、飛沫が飛びます。会話する場合には、周囲に配慮しながらしてください。
3.マスクを必ず着用する
京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授(2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞)がジョギング時のエチケットとして、You Tubeでマスクの着用をうながすメッセージを出して以来、走る時にマスクを着用するエチケットの認知が広まっています。ですが、まだまだ何もつけずに走っているランナーが目立つ状況があります。
息が苦しい。暑い。マスクをしたって、感染予防にならない。
そんな意見もあります。確かにマスクでは感染予防の効果はほとんどないとの報告が医療界から出ています。しかしマスクは感染予防のためではなく、相手に感染させないためのもの。ジョギングをすると、通常よりも息が荒くなり、肺からの呼吸が流出するため、危険度は増します。マスクをすることで、自分の飛沫を大幅に押されることができます。もし自分が無症状のコロナウィルス保菌者だった場合、相手に感染させるリスクを減らす効果があるのです。
エチケットとしてもマスクの着用は不可欠です。仮に十分に距離が離れていたとしても、見える範囲で走っているランナーがマスクをしていなかったら、気になってしまう人はたくさんいます。「走ってる人が近くに来たらどうしょう」という心配が心理的な負担になるからです。
これから暑い季節が到来しますが、ここは我慢の時です。マスクをすることによって、息苦しさは増しますが、心肺機能を鍛えるための負荷であり、トレーニングの一環であると考えて、必ずマスクを着用しましょう。
4.激しすぎる運動は避ける
前の段落で、マスクをすると、心肺機能に負荷がかかると書きました。トレーニングのためには負荷をかけることも必要ですが、マスクをしていることで、運動が過度なものになり、熱中症になる危険も高くなります。適度な運動を心がけましょう。
5.こまめに水分補給する
水分の補給も重要です。マスクをしていると、湿気があるので、喉が渇いているのに気づかないケースもあるようです。通常時よりも、こまめに水分を補給しましょう。長時間、散歩やジョギングをする場合は、公園の水飲み場の利用は避けて、マイボトルを持参しましょう。
6.散歩は5メートル、ジョギングは10メートル、前後の間隔をあける。
すっかりソーシャルディスタンスという言葉が定着しました。人との距離を最低でも1メートル、できるならば2メートルあける必要があるという認識が一般化しています。
では散歩をするとき、2メートルのソーシャルディスタンスをとれば十分なのかというと、答えはNOです。互いが静止状態ならば2メートルで大丈夫ですが、歩行中に直列で前後に並んだ場合は5メートル、ジョギング中は10メートル、サイクリングは20メートルとの記事がカナダCTVテレビジョンネットワークのサイトに発表されました。オランダのアイントホーフェン工科大学のレポートに基づいた報道です。CTVの記事のアドレスは以下。
ジョギングする人がもっとも注意すべきなのは、前方や横への配慮ではなく後方への配慮です。
7.ジョギングで追い抜く時は細心の注意を
歩いている人を追い抜いて、すぐにその前を走る行為はきわめて危険です。追い抜くときは横の間隔を1.5メートル以上あけて、追い抜いたら、10メートル以上距離が離れるまでは、前を走ってはいけません。そこまで開けなくてもいいんじゃないかと思うかもしれませんが、抜かれた方はそうは感じません。ここで示した距離はあくまでも最低ラインと考えてください。
8.手でものにふれない
これはすべての外出時に注意すべきことですが、特に散歩やジョギングをしている時は、うっかり手でさわってしまうケースがあります。喉が渇いて、自動販売機で飲料水を買う時にボタンを押したり。急にトイレに行きたくなって、公園のトイレのドアノブや洗浄スイッチにさわったり。道に落ちていた10円硬貨を拾ったり。そうした場合にはその手で鼻や口にさわらず、手を洗う必要があります。
9.なるべくベンチに座らない
直接、手をふれなければ、ベンチに座っても平気だろうと思うかも知れませんが、ベンチにコロナウィルスが付着している可能性はゼロではありません。そのベンチに座るということは、服やズボンにウィルスが付着する可能性があるということです。確率的にはかなり低いですが、注意するに越したことはありません。
10.家に帰ったら、入念に手洗いとうがいをする。
家に帰ってきて、手洗い・うがいが完了するまでが、散歩・ジョギングです。もし医療関係者であったり、高齢者用の施設への行き来をする場合にはさらに細心の注意が必要です。衣服も洗濯して、シャワーをあびて、髪の毛から全身まで、しっかり洗いましょう。
衣服の洗濯とシャワーは絶対に不可欠というわけではありませんが、アメリカ国立アレルギー感染症研究所から新型コロナウイルス(Covid-19)が空中で3時間生きた状態で浮遊していた例があるとの報告が出ています。アドレスは以下です。
仮に空中で3時間、生きた状態で新型コロナウイルス(Covid-19)が浮遊しているならば、髪の毛や衣服に付着する可能性がゼロとは言い切れません。0.000000001パーセントくらいの危険性があるので、衣服を洗濯して、シャワーを浴びるに越したことはないでしょう。
外に出たら危険があることを認識して、安全な散歩・ジョギングを
自分の身を守ることも大切ですが、自分以外の人の身を守ることはさらに大切です。
もちろん不可抗力のケースもありますが、不注意によって人に感染させることは加害者になることに限りなく近い行為です。
基本はあくまでも“Stay Home”です。
外に出るときは、正しく情報を収集して、しっかり予防策を施し、配慮と思いやりを持つことが求められます。気兼ねなく散歩できる時が一日も早く戻って来るように、団結してこの危機を乗り越えていきましょう。
コメント